中村光江さん

ラベンダー|ママ


「秋田のババ」から受け継いだラベンダーも17年。変わらぬインテリアとこだわりの照明、金屏風のような壁紙でお客様を迎える。



兄弟の長女。自身が親になって理解できたが、長女の私にかけてくれる時間が少ないと不満ばかり抱えて幼少期を過ごした記憶がある。周りの様子を伺い自らの立ち位置を理解して動く思慮深い性格だった。社会人になってから町内の飲食店で1年弱働き、貯めたお金で運転免許を取得した。おっちょこちょいで平地でもつまづいてしまう中村さんは、両親から「運転免許は絶対に取るな」と言われるほどだった。


店は2004年、オーナーだった故父・光さんに諭されて先代から引き継いだ。先代は「秋田のババ」と呼ばれる伝説の人。三味線を弾き歌を歌い、秋田出身の彼女は強めの東北弁を話したという。接客も上手な「秋田のババ」から店を受け継ぐということで「自分に引き継げるのか」という不安があったが、1年やると「1年で辞めた」と言われるのが悔しく、2年続くと「もう少しやってみよう」と繰り返し、気付くと17年目に入っていた。




インテリアのほとんどは以前の店のまま。長く通うお客様が来店した時に「変わらない安心感」も、楽しいひとときと一緒に提供したいからだ。店内に置かれるイサムノグチの貝がらの形をしたガラステーブルもお気に入り。妹さんが購入したが、家には置けないとわかった。安い家具ではなかったのでもったいないと、譲り受けて店に置いた。シンプルモダンな家具と数十年使われている昔ながらのインテリア、金屏風のような壁紙なのに謎のまとまりがある。こだわりの照明(左写真)が壁紙に反射し、店内を優しい灯りで照らしてくれる。


「まさか自分が水商売をするとは」と振り返る。こんな思慮深くおっちょこちょい、おまけに思い切ったことなど絶対にしない性格だが、開店して17年目を迎えることができた。お客様の話をたくさん聞くことができた。


ラベンダーの花言葉に「あなたを待っています」という言葉がある。ヨーロッパの逸話に由来すると云われ「内気な少女が告白できず待ち続けた末、一輪の花になってしまった」という話だ。その奥ゆかしさこそがラベンダーの素敵なところなのかもしれない。